モデルベース開発ツールに続き、トレーサビリティ管理ツールも見てきました。組込み系では、要求から実装・試験までのトレーサビリティ確保が重要になってきています。実装の背景、理由が分かるようにすること。変更の影響範囲が分かるようにすること。要求が莫大になり、ソースコードも増えるに従って、体系立てて管理する必要が増してきました。
私は、トレーサビリティ管理のためのツールは大きく分けると2種類あると見ていて、ALM(Application Lifecycle Management)製品とリンク情報管理製品に分けて見ています。ALM製品は、全行程をカバーするスイートを提供する製品です。RTC(Rational Team Concert) や MKS Integrity が該当します。
ここで紹介するのは後者のリンク情報管理製品です。2社が出展しており、どちらも日本企業です。
残念ながら Web Site には、まだ製品がありません。しかし、会場では現在のバージョンをデモしていました。リンク情報管理には大きく分けて2つの機能があり、1つはリンク情報を付加する、1つはリンク情報を参照する機能です。TERAS はドキュメントの構造を解析して、見出しレベルに自動でラベル付けをする機能を有していました。付与されたラベルは TERAS から一覧でき、ラベル同士をリンクするようです。
TERAS はコア部分は無償提供される予定になっています。どの範囲までを無償提供するかは検討中とのことです。実証評価への参加を募っているので、参加されると色々な情報を得ることができると思います。
こちらも基本的な機能は TERAS と同等のものに見えました。開発はこちらの方が先を行っており、無償ビューア版がダウンロードできます。ラベルは手作業で付与するようです。TERAS もそうですが、現場の声を吸い上げて開発しているという話でした。
有償ツールでは、Reqtify というツールが先行しています。このツールは他ツールに OEM 提供されており、IBM Rational Gateway (Rhapsodyに同梱) は Reqtify を使っています。他にも色々なツールに採用されているようです。
トレーサビリティ管理については TERAS に注目しています。なぜなら、OSLC 規格に従うことになっているためです。OSLC(Open Services for Lifcycle Collaboration)はオープンコミュニティにより標準化が進められています。OSLC は複数の開発ツールを繋ぐための規格です。特定のツールに縛られず、製品ツールとオープンソースのツールを繋ぐ、MS Word とも連携させるなど、様々な組み合わせを実現できるようにしようとしています。TERAS の無償提供部分が、最低限必要なラインを超えていたなら、使ってみようと思うのではないでしょうか。